
| 事業概要 | 株式の所有を通じたグループ会社の事業活動の管理及び経営指導 |
|---|---|
| 従業員数 | 8,732人(2025年3月31日現在、連結ベース) |
野村不動産ホールディングス株式会社
グループDX戦略部
セキュリティ推進課長

野村不動産ホールディングス株式会社
グループDX戦略部
インフラ推進二課 課長

野村不動産ホールディングス株式会社
グループDX戦略部
インフラ推進二課 主任

国内および海外で幅広く不動産関連事業を展開している野村不動産グループ。野村不動産ホールディングス株式会社(以下、野村不動産ホールディングス)は各事業会社の統括・支援を行っている。グループ全体の経営戦略を策定・推進する役割を持ち、2030年ビジョン「まだ見ぬ、Life&Time Developerへ ‒ 幸せと豊かさを最大化するグループへ ‒」を掲げ、価値創造の変革を推進している。その実現にむけてデジタルで変革を図り、企業の成長力を強化する「野村不動産グループDX宣言」を策定した。DX宣言の中の1つの戦略として、業務・プロセス変革による「時間創出」を推進している。
2023年夏にセキュリティ観点から廃止が推奨されているいわゆるPPAP廃止の検討を開始しました。まずはメール送信に関する「リスク」を洗い出し対策を検討、その中で「誤送信リスク」「業務リスク(手間)」を低減するためには対策ソリューション導入が必要という結論に至りました。そこで、以前から脱PPAPと誤送信防止の提案を受けていたNTTテクノクロスが真っ先に頭に浮かび、ソースポッドのSPC Mailエスティーを紹介していただきました。
野村不動産グループは、幅広い事業を展開しています。マンション・戸建住宅の開発・分譲、オフィスビル・商業施設・物流施設等の開発・賃貸、これら不動産の運営管理、仲介、不動産証券化商品等を対象とした資産運用など、それぞれの業態でメールのやりとりをする頻度や送信するメールの内容も異なります。
そこで、各グループ会社の情報システム部に協力してもらいSPCMailエスティーの評価版環境で複数の設定パターンを試し、誤送信防止チェック対象とすべきメールの種別、チェック回数、パスワード設定の有無等について意見照会を行いました。ユーザビリティや安全性、受信者(顧客や取引先)目線での意見を考慮し、添付ファイル付の社外宛メールに対して誤送信防止と添付ファイルWebダウンロード機能を導入する方針を定めました。さらに、デスクトップアプリ型やブラウザ型などのメーラーを使用していることを鑑み、どのメール環境に対しても動作可能なクラウド製品のSPC Mailエスティーを中心に検討を進めました。
しかし、日々多くのメール送信をしている不動産仲介のグループ会社からは、以前からポップアップで誤送信防止の画面が表示できる他社のクライアント製品を使用しており、そのスピード・使用感を変えずに利用したいとの要望がありました。また、マンション管理を行う別のグループ会社の一部からは、個人情報のやりとりがあるため上長承認を行いたいという要望がありました。
NTTテクノクロスに相談したところ、パソコンにインストールして使うクライアント製品のCipherCraft/Mailとの併用が可能であることと、SPC Mailエスティーの上長承認機能を一部のユーザーのみに設定可能であることを提案されました。グループ各社の業態にあわせたソリューション構成ができることに加え、比較的低コストで導入できること、大規模ユーザーの導入実績の多さ、長年にわたり安定稼働している実績などが採用の決め手となりました。
今回の導入では、国内外のグループ会社で約1万2千ユーザーのアカウント登録が必要でした。さらに、野村不動産グループでは、4月1日に組織改編を含む人事異動があり、社員の就業開始前に異動情報をSPC Mailエスティーへ迅速かつ正確に反映する必要があるため、ID管理システムとSPC Mailエスティーのシステム間連携が必須条件でした。SPC Mailエスティーにはアカウント連携オプションとしてAPIが用意されており、APIを活用して当社の異動情報が、ID管理システムから自動でSPC Mailエスティーに連携されるように開発しました。これにより、ID管理システムに登録された入社や異動などの情報を日次で自動連携しています。おかげで、私たち自身の手を動かすことなく大規模な人事異動に対応できています。
脱PPAPを実現してWebダウンロードに移行する際、一番気がかりだったことはWeb上のストレージへのアクセスを制限している取引先があることです。取引先がストレージからファイルを受け取れない場合でも業務が滞らないようにするため、取引先から送信者へストレージにアクセスできない旨の連絡をいただいたとき、情報を登録すると対応方法を自動で送信者へ送る仕組みを用意しました。これにより、取引先へストレージへのアクセス制限解除をお願いするよう対応してもらいつつ、業務が滞らないよう暫定措置として、メール件名に特定のキーワードを入れることでメール添付のままファイルを送付する方法を送信者に自動で案内を行い、対応してもらいました。取引先にストレージへのアクセス制限があっても業務が滞らない仕組みづくりで、大きな混乱はありませんでした。
直近の実績を見ると、SPC Mailエスティーを経由して送信されたメールのうち約2,000通が送信前に表示される確認画面にて送信中止されています。すべてが宛先の誤りではないかもしれませんが、誤送信防止の手ごたえはしっかりと感じています。脱PPAPを実現してWebダウンロードに切り替えたことで、ユーザーからも業務負荷が軽減されたという声が寄せられました。
画像の添付ファイルの内容を読み取って、必要に応じて警告を出してもらえるようになると良いと思っています。その他、CipherCraft/Mailで実装されているAIを活用したアラート機能を、SPC Mailエスティーでも利用できるようになることを期待しています。

グループ各社のソリューション構成図